
四谷大塚・Wアカなど予習シリーズベースの学習をしていて算数が苦手な小4の中学受験生の方へ
この記事では東大卒講師歴25年の図解講師「そうちゃ」が予習シリーズ各回の学習上のポイントを解説します。予習・復習にお役立て下さい。
はじめに
予習シリーズの特徴と対策
特徴~長所
四谷大塚やWアカデミー等で使用される「予習シリーズ」は、首都圏の大手集団塾では唯一の「良くまとまったテキスト」です。
学習対象が明確
各単元で学ぶことが絞られているので、その週に習得すべきことがはっきりしている。
学習サイクルが明確
5回に1回のテストでテストの前週には総合(復習)回があるので「インプット→アウトプットの練習→テスト」という学習サイクルを作りやすい
予習復習がしやすい
きちんとした「テキスト」がないSAPIXはもちろん、まとまりに欠ける日能研のテキストより体系的なので、予習はもちろん、復習もしやすい。
特徴~短所
分野が頻繁に変わる
日能研・SAPIXに比べると、扱う分野がコロコロ変わります。そのためテストの出題分野が数・図形・特殊算のように広い分野に渡って大変かもしれません
*2021年改訂ではある程度分野がまとめられました
講習中にもカリキュラムが進む
2021年度4年生から、夏期講習中にも単元が進むようになりました。(講習前半は復習、後半に単元進行)
対策:通常期は基本の定着を優先
テキストがまとまっていて復習もしやすいので、レベルに応じた使い方ができる。
算数が得意な人はテキストの完全理解と定着を、算数が苦手な人は通常期は「穴」が出来ないように各回の例題と基本問題の完全定着を目指した反復を優先して休みを利用して応用問題に着手する。
2021以降の改訂版の特色
通常時のカリキュラム進行ペースが少し速くなりました。さらに講習中もカリキュラムが進行するので、全体的には大幅にペースが上がりました(SAPIXよりも速くなった)
さらに、難しめの問題への導入になっていた「応用例題」が無くなったので、練習問題のハードルが高めになりました。
算数が苦手な人は無理をせず、基本問題までを「完璧」にすることを最低ラインにしましょう。
4年時学習の注意事項
学習習慣の確立
入塾までに中学受験の勉強をしていない場合は、毎週の単元の理解と定着ができるような学習習慣の確立を。
正しい学習法の確立
上記学習習慣が確立している場合は、内容が大幅に難しくなる5年次までに学習の「質」を高めていきましょう。
ただ正解できるだけではなく、正しい道筋で答えにたどりつこうとする姿勢が大切です。
「図を書いて考える・条件を整理して考える」など、一見答えが分からない問題に取り組む力=「入試に通用する力」を4年から養いはじめましょう。
復習の練習
4年次では、授業で扱うのは受験算数の第一歩なので理解定着も比較的やさしく、テスト前には「分からない問題を解けるようにする」学習で足りるかもしれません。
ところが、5年に進むとかなり以前に学習した4年次内容が授業の前提になるので、算数が得意でない生徒さんは授業前に4年内容を見直す必要があります。
また授業内容も難しくなって理解定着に時間がかかるので、テスト前には分からない問題を解くよりも、学習した週に解けた問題を復習して定着と統合(各単元・問題を関連づけて一体として理解すること)を図る必要があります。
6年次、というか受験ではテスト範囲は全部なので、全範囲を高速に復習・統合する態勢ができていないと、受験前に忘れているところ(穴)がたくさんできてしまいます。
このように、学年が進むにつれて新規事項の学習よりも既習事項の復習と統合が重要になります。
そこで、4年のうちから、復習するもの(テキストにしおり、テキストに書き込み、テキストへの付せんでOK)を作っておき、組分けテストの前にはテスト範囲全体を復習する時間を設けるのをすすめます。
記事の見方
カリキュラムと日付
当記事は2019年~2022年用のテキストに基づいています。また、日付けはある年度の某校舎のものなので、実際とは異なることがあります。
記号
分野表示
[数][特][図][速]は「そうちゃ式」の教授体系の大きな分類「数論」「特殊算」「図形」「速さ」を示します。
まとめて復習をしたり、予習をする際に重要です
重要度表示
項目の頭についている記号の見方
「●」…優先度が高い事項
「・」…通常事項
「◎」…テキストには無いが重要な事項や前提となる事項
問題
テキストと似た問題の解法を示しています。「授業の前に予習をしたくない」方に配慮して最初は解答が隠してある場合があります。解答を表示するには「↓(開く)↓」をクリックして下さい
記事の範囲
管理上の便宜のため、次回テスト範囲外の記事は非表示にしています。
こちらで会員登録していただくと「アーカイブ」で全て閲覧できます。
(旧)記号の見方
☆○○○…予習シリーズの単元名
★○○○… 〃 (応用的なもの)
(○○○)…当サイトで補完した単元
◇…関連する予習シリーズの他の回
□…関連する当サイトの記事
6/11組分けテストの範囲
第11回「三角形の面積」
◆大きな数
◆がい数
第12回「間の数をかぞえる」
第13回「周期を考える」
第14回「等差数列」
・等差数列の性質
・等差数列の和
☆等差数列のN番目・Nを求める
☆減少する等差数列・真ん中の数
☆等差数列の和
☆図形と等差数列
★三角数・等差数列の部分の和
7/16組分けテストの範囲
第16回「約数」
第17回「倍数」
◆つるかめ算
第18回「一方におきかえる」
第19回「立方体と直方体」
10/8組分けT範囲
第1回「小数と分数」
●小数と分数の相互変換→参考記事「」
・小数と分数の大小比較→参考記事「」
・整数分数混合のかけ算割り算→参考記事「」
◎[テキストに無い重要事項]乗除を分数にする
分数に慣れて使いこなすために、連続するかけ算と割り算を分数にする事を覚えましょう
A÷B=AB、AxB÷C=A x BC、A÷BxC=ABxC=A x CB
かけ算やわり算を一つ一つ計算せずに、分数にまとめて約分してから計算を行います
(例)700÷45×18=70045x18=700 x 1845=140 x 21=280
・分数とかけて整数になる分数→参考記事「分数の応用問題」
第2回「分配とやり取り」
・2量への分配算(ピッタリ)
・2量への分配算(1量半端)
・2量への分配算(2量半端)
・[前提]三角形の内角の和=180°
・3量への分配算
・やり取り算(1)
・やり取り算(2)
◎[テキストに無い重要事項]「やり取り」と「精算」
例題6は「やり取り」に見えるが、合計が書いていないのとあげる(やる)人ともらう(取る)人しかいない(やり取りが無い)ので「やりとり算」ではなく「ワリカン(精算)算」になる。
◎線分図(和差比)
◇和差算
☆二量の分配算(ぴったり/一量半端/二量半端)
☆三量の分配算
☆変化の分配算
☆やり取り算(足し算引き算)/★ワリカン算
第3回「円と正多角形」
第4回「立方体・直方体の体積」
11/3統一小学生テスト
範囲はありません…が、範囲が無いテスト前の学習方法については「直前の学習法」を見てもよいでしょう。
11/12組分けTの範囲
第6回「割合」
・割合の意味
◇割合の導入
・割合の3用法
☆割合の考え方/☆割合の三用法
・相当還元算
第7回「推理」
・覆面算
・数の大小関係
・魔方陣
・勝敗整理(リーグ算)
・順位整理(証言)
第8回「多角形」
・対角線
・内角と外角
・星形
・蝶形
・求積の工夫(三角定規の利用)
・求積の工夫(三角形の等積変形)
第9回「円とおうぎ形」
・円の周長と面積
3.14の計算(小数のかけ算)方法に注意
①計算前にがい数で答えの見当を付ける
②小数点を取って筆算し後で戻す
・おうぎ形の性質と弧長と面積
一番大切な知識は「おうぎ形が元の円に占める割合」で、中心角を見てすぐに割合を連想できるようにしておくと後で非常に役立つ。

「□x3.14」の形に整理できるように約分を活用する
・バナナ(レンズ)形とブーメラン形
・複合おうぎ(移動範囲)
ヒモが巻き付く様子を想像して、図を自分で書けるように練習

・角円複合図形
得手不得手の個人差が大きいので、初習で苦手な人は焦らずに慣れるようにする。
この分野は5年以降に大きな発展は「無い」ので、ゆっくり慣れても「入試には」間に合う。
12/17組分けT範囲
「速さ」を得意にしておかないと後で非常~に困ります。12回が余裕なら早めに13回の予習を始めましょう
第11回「角柱と円柱」
旧版テキストでは5年11回(5月)で学習。前回「円おうぎ」に比べると捻りが少ない単元です。
公式を使って素早く立式し3.14の計算をまとめて一発で正答しましょう。
立体図形がなんとなく苦手という人は、この回で得意にできるチャンスです
柱体について体系的発展的に学習したい人は、そうちゃ式2号館「柱体のまとめ(作成中)」を見て下さい
・角柱円柱の性質
底面の形にかかわらず柱を底面2つと側面1つに分ける
・柱の頂点・辺・面の数
あえて公式にするなら…
N角柱の頂点の数=Nx2個
〃 辺 〃 =Nx3個
〃 面 〃 =N+2個(何角形でも底面は変わらず2個なので)
p108の練習問題1
→N角柱の頂点の数はNx2、辺の数はNx3なので頂点と辺の数の和は(Nx2)+(Nx3)=N+N+N+N+N=Nx5でこれが45なので、N=9で九角柱です
類題
頂点の数と辺の数と面の数の和が44である角柱は何角柱か
→N角柱の頂点の数と辺の数と面の数の和は(Nx2)+(Nx3)+(N+2)=N+N+N+N+N+N+2=(Nx6)+2で、これが44なので(Nx6)+2=44 です。この逆算を解いてN=7なので、七角柱です。
⦿3.14の計算
①分数のかけ算の約分と結合法則を使ってまとめる
②筆算の前に概算で答えを連想して、小数点を取って書く
③かけ算の筆算では桁数が多い数(ほとんどの場合3.14)を上段に書く
●柱の体積と表面積の公式
この3つを覚えれば足りる
・柱の体積=底面積x高さ
・柱の表面積=底面積x2+側面積
・柱の側面積=底面積の周りの長さx高さ
公式を理解したら、具体的な数値を使って素早く立式計算できるように

特に表面積の計算では、3.14の計算をまとめることが重要
・展開図を使った問題
分かる長さを全て書き込んでから、図形の公式を使って答えが出せないか考える

●横倒角柱の体積表面積

●柱複合体の体積表面積
第12回「一方にそろえる」(消去算)
予習シリーズの改訂で他の単元は履修時期が早まりましたが、この「消去算」は同じ時期のままです。つまり「消去算」は体系的に他の単元とつながりに乏しい単元です。
一方、解き方のバリエーションが少ないので他の特殊算のような難しさはありません。
体系的に学びたい人は、そうちゃ式算数「消去算まとめ」を見て下さい
⦿式の操作
消去算は(線分図や面積図でなく)式を操作して解くので、式の操作(全体を倍する/割る)に慣れておくと良い
●加減法
ぜんぜん分からない人は「消去算まとめ」内「加減法」を見て下さい
●代入法
よく分からない人は「消去算まとめ」内「代入法」を見て下さい
⦿応用的な代入法(式から倍比を判断して代入)
分からない人は「消去算まとめ」内「三量の消去算~ハイブリッド型」を見て下さい
・三量の消去算(三和型)
三量のうち二つづつの和が3つ与えられる問題で、疑似和差算の「三和算」と同じように解く
ぜんぜん分からない人は「消去算まとめ」内「代入法」を見て下さい
・消去算的な推理算
重さの異なる重りがてんびんで釣り合っている3つの図から重さを求める問題
また、ある重りの重さが書いてある場合は、最初にそれを図に書き込む。
次に「代入法」の考え方(ある重りを他のおもりで置き換える)が使える図を探し出して、そこから他の図を利用していく
第13回「速さ」
受験算数四分野で一番難しい「速さ」のスタート回です。ここで速さを「得意」か最低でも「好き」にしておかないと5年以降が大変苦しくなります。
⦿時間の単位の変換
速さの公式を使う以前の話として、時間の単位を変更する方法を定着しておかないといけない
→関連記事「速さの基本」内「時間の単位」を見て下さい
●速さの求め方(は=み÷じ)
・速さの単位の変換
効率の良い方法を覚えないと面倒な事柄です。→関連記事「速さの基本」内「速さの単位」を見て、正しい方法を身に着けて下さい
・道のりの求め方(み=はxじ)
・時間の求め方(じ=み÷は)
公式の使い方覚え方については関連記事「速さの基本」内「速さの三公式」を見て下さい
⦿三公式を図にしてみる
速さの習い始めの三公式の問題は計算自体は単純なので何となく立式しても正答できてしまうかもしれませんが、それで満足していると問題が少し複雑になると全く解けないおそれがあります。
式だけでなく実際の「状況」も想像する訓練をするのが大切です。速さ分野でこれからずっと使う「状況図」の書き方を練習しておきましょう。
例題1の図

速さに?を書いて下さい
例題3の図

道のりに?を書いて下さい
例題4の図

時間に?を書いて下さい
⦿単純な文章題
例題5のような複雑な文章題を解く前に、単純な文章題で図の書き方(情報の整理の仕方)を練習すると良い
基本問題3の図(丸数字は書いた順)

問題を読みながら書き足していく
基本問題4の図(丸数字は書いた順)

問題を読みながら書き足していく
このような状況図は、問題を読み終わった後ではなく、問題を読みながら書いていきます。そして、書き終わると設問に答えていた…というのが理想です。
基本問題4の図を書いている様子

問題を読みながら書き足していく
●複雑な文章題(途中で1回戻る)
往復するだけの問題なら1つの状況図にまとめるのもできましたが、例題5のような「行ったり来たり」する問題では1つの状況図にするのが難しくなります。
そこで時間帯ごとに状況図を分けてみます。
例題5の図A(全ての時刻を分けた図)
(丸数字は書いた順)

問題を読みながら書き足していく
上の図は、問題に出てくる全ての瞬間(時刻)で図を分けましたが、移動する方向が変わるまで図を分けると下のようになります。
例題5の図B(方向が変わる度に分けた図)
(丸数字は書いた順)

問題を読みながら書き足していく
図が少なくなるので一見ラクなようで、実は図を描くのにも情報を引き出すのにも思考が必要です。
好きな方で構いませんが、算数が苦手な人ほど面倒くさがらずに状況図を書く練習をしておきましょう。
詳しい説明は関連記事「速さの基本」内「速さの文章題」を見て下さい
第14回「平均」
平均算の2種類の解法「線分図」と「面積図」の見分け方など「平均」を体系的に学びたい人は関連記事「平均算まとめ」を見て下さい
・平均の三公式
「合計」「平均」「個数(人数)」の3つは「道のり」「速さ」「時間」のような関係にある
合計=平均x個数(人数)
平均=合計÷個数
個数=合計÷平均
問題文から数値を2つ読みとったら、即座に合計平均個数のどれかを計算して問題文に書き込む
・合計←→平均(例題1)
・部分平均と全体平均(例題2)
⦿度数分布表の基本
度数分布表(小学5年で学習)を初めて見る人は、例題3の前に度数分布表を「理解」しておいた方が良い(特に表の「増設」の仕方↓)
度数分布表から合計と平均を求める
→
合計と平均を増設

表の右と下に欄を増設して書き込む
→関連記事「平均算まとめ」内「度数分布表」を見て下さい
⦿つるかめ算
予習シリーズでは「つるかめ算」を置き換え法で解きますが、面積図法で解いても良いでしょう。
くわしくは関連記事「つるかめ算まとめ」を見て下さい
・度数分布表とつるかめ算(例題3)
つるかめ算になるのがよくわからない生徒さん向けのワーク式画像。「表を増設する」作業が自然にできているのが前提

・平均の面積図
平均の三公式が速さの三公式と同じ関係なので、速さ同様に平均の三量も面積図にできる。
⦿等積重複する長方形とL字形(1)
平均を面積図で解く際に重要な考え方
面積が等しい2つの図形が重なるとき、重ならない2つの部分の面積も等しくなる
等積のL字と長方形(1)

等積のL字と長方形を重ねると
重ならない部分の面積も等しくなる
平均算では、面積が等しい長方形とL字形(つるかめ算の面積図の形)が重ねて考えます
●最後のテスト
面積図を書いて、上の考え方を使えばイケる
⦿等積重複する長方形とL字形(2)
上の考えを1つ進めると、重ならない2つの部分に等しい部分を加えた面積も等しくなる
等積のL字と長方形(2)

重ならない部分それぞれに
同じ面積を加えても等しいまま
図形問題でよく使う知識ですが、例題5はこの考え方を使います。
●2つのグループ
1/15志望校判定テスト
範囲はありませんが、これまで学習した範囲の公式をプリントとしてまとめました。関連記事「摸試の受け方」を見てください。
1/28組分けT範囲
第16回「すい体(角すいと円すい)」
体系的に学びたい人は2号館の記事「すい」を見て下さい
・(角)すいの体積
すいの体積=底面積x高さx13
すいの体積は底面積が同じ柱の13になるということ

●すいの見方
どの面を底面にするかで高さも変わってくる
◎すいの展開図と表面積
すいの表面積=底面積+側面積
・円すいの体積
底面積x高さx13=(半径x半径x3.14)x高さx13
●円すいの展開図
円すいの展開図の側面積(おうぎ形)に関する公式で重要なのは、中心角360(おうぎ形の割合)=半径母線であること
・円すいの表面積
円すいの表面積=底円の面積+側面(おうぎ形)の面積=半径x半径x3.14+半径x母線x3.14
側面積が「半径x母線x3.14」になる理由:中心角360=おうぎ形の割合=半径母線なので、側面積=母線x母線x3.14x中心角360=母線x母線x3.14x半径母線=半径x母線x3.14
●回転体
見取り図が書けるようにする。
第17回「水量とグラフ」
第18回「規則性(きまりに注目)」
あとがき
あなたが本記事を活用して成績と志望校合格の可能性を上げることを心より祈ります!
ご意見・リクエストはページ一番下にあるコメント欄にご記入ください
コメント